ねじれ型重力波検出器

 TOBAとは、2本の棒状のテストマス(重力波の影響を受けるもの)を持った、低周波数帯に良い感度を持つ重力波検出器です。
 KAGRAなどのレーザー干渉計型重力波検出器では、干渉計の2つの腕の長さの変化を読み取ることで重力波を検出しますが、TOBAでは、重力波からの潮汐力によって2本の棒が差動回転するのを読み取ることで重力波を検出します。
 TOBAの大きな特徴は、地上においてもDECIGOのような宇宙重力波望遠鏡と同じ低周波数帯に感度を持つ点です。地上では重力の束縛があるため、振り子の共振周波数以上でないとテストマスが自由質点として振る舞えず、重力波に感度を持ちません。KAGRAでは並進方向の変動を見るため、その共振周波数は1Hz付近となり、約10Hz以上でしか重力波に対して感度を持ちませんが、TOBAでモニターするねじれ方向の共振周波数はサブmHzと低周波なので、0.1~1Hzといった低周波数帯に感度を持つ事ができます。
 このように様々な周波数帯に感度をもつ重力波検出器をいち早く開発し、高周波数帯に感度を持つKAGRAなどでは中性子連星合体や超新星爆発などを、低周波数帯に感度を持つTOBAではブラックホール連星合体や背景重力波などをとらえる事によって、我々の宇宙や銀河の謎が解明され、重力波天文学の幅を大きく広げることができると期待されています。

 現在は、Phase-III TOBAとしてプロトタイプ3号機を開発しています。
Phase-III TOBAでは、2本の振り子や能動防振装置、低温システムなどを導入し、感度向上を目指しています。

TOBA

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