Suspension Point Interferometerの開発



  Suspension Point Interferometer(SPI)は、基本的に干渉計をセンサーとして用いた能動防振装置である。その構成は図16(a)に示すように、重力波検出用の主干渉計の上にもう一つの干渉計(SPI)を配置するというものである。SPIをレーザー周波数にロックすることで、SPI自身は仮想的な剛体棒と見なすことができる(図16(b))。この剛体棒によってサスペンション上部からワイヤーを伝わってくる振動を抑制することができる。




 この方法が加速度計などを用いた他の能動防振方法に比べて優れているのは、センサーとして非常に高感度な干渉計を用いているためセンサーのノイズが干渉計の感度を悪化させることがないという点である。LCGTにおいては鏡を冷やすためのヒートリンクを鏡の近くに接触させる必要があるが、そのヒートリンクから混入される振動が干渉計の感度を悪化させてしまう。しかしヒートリンクを接触させた段にSPIを導入すれば混入した振動を抑えることができる。SPIにはこの他にも干渉計の安定度を向上させたり、動作点への引き込みを容易にするなど利点がある。

 我々はこれまでに、小型のプロトタイプ干渉計を用いたSPIの実験を行ってきた。図17(a)はその結果であり、主干渉計のノイズスペクトルをSPI導入の前後で比較している。3Hz以下ではSPIの導入によってノイズが下っている。しかしそれ以上の周波数ではSPIでは抑えることのできない鉛直振動の影響でノイズの改善がみられなかった。そこで我々は鉛直振動を抑えることのできるVertical SPI(VSPI)と呼ばれるシステムを開発し、テストした。図17(b)にその結果を示す。これは、VSPIを用いた場合と用いない場合におけるVSPIを組み込んだ3段振り子の伝達関数を比較したものである。この結果から少なくとも10Hz以下ではVSPIによる鉛直防振が可能であることが分かる。

 現在我々は、SPIとVSPIを同時に組み込んだプロトタイプを開発中で、より高い周波数まで防振効果の得られるシステムの実現を目指している。





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