• 重力波セッション : 二日目 (Saturday 24 August)
  High-Frequency Gravitational-Wave Detectorsというサブセッション。この日は、重力波源とデータ解析の話。数式だけをこねくりまわして、結局、結論が良く分からない、とか、非常に限定された条件下の議論といった、この手のセッションにありがちな講演は少なく、興味を持って聞ける講演が多かった。　

  SESSION 4 : Gravitational Wave Source Physics

  • Numerical relativity: maximizing the scientific payoff from gravitational wave detection,
    S. Teukolsky, Cornell Univ.
    • Scienceの話ではなく、戦略の話。数値相対論の重要性を述べ、もっとリソースをつぎ込むべきだと主張。LISA-LIGO合計の5%の予算があれば、もっと成果が得られるだろうという結論。
  • Gravitational waves from supernovae,
    C. Fryer, Los Alamos National Lab.
    • 超新星爆発からの重力波を3D数値シミュレーションによって計算。Core-collapse, bar modeなどそれぞれの予想振幅を示していた。元の星に回転がある場合、h=6x10^-25 @10Mpc という結果。重力波形も示していた。一見、これまでに見たことあるものと同様な波形とタイムスケールをしていた。
  • Pulsar formulation rate,
    V. Kalogera, Northwestern Univ.
    • タイトルを 'Compace object inspiral' から変更して講演。連星合体のイベントレートの理論的見積もり。銀河系内に2つ連星パルサーが観測されているという事実と、パルサー探査のモデル、連星形成のモデルなどから、連星合体のイベントレートを見積もる。どういう母集団分布をしていれば、2つ見つかるという事象が起こる確率が高いか、ということを考慮して、誤差をつけていたのが目新しかった。結果は、25+-60 event/Myr/Galaxy (C.L. 99%)、または、 25+-5 event/Myr/Galaxy (C.L. 65%)。LIGO Iで1年に(1-25)x10^-3 event/yr、LIGO IIでは、4-100 events/yr というイベントレートになるそうだ。
  • Astrophysics of gravitational wave sources: detection prospects,
    K. Belczynski, Northwestern Univ.
    • 連星の進化のモデルを組み込んだpopulation synthesis codeというものを用いて、compact binaryのイベントレートを求める。recycled pulsarの効果を入れるとrateが上がるそうだ。シミュレーションを行った結果、NS-NS: 2.7-302.2, NS-BH: 1.3-36.2, BH-BH: 0.6-42.2 event/Myr/Galaxy という結果。全部合わせて、13.1-356 events/Myr/Galaxy。LIGO Iで年1.1 eventという結論。
  • Distribution of mass ratio in compact object binaries,
    T. Bulik, Nicolaus Copernicus Astronomical Ctr. (Poland)
    • コンパクト連星質量の分布は、恒星進化モデルに非常に敏感であるため、100個のイベントが観測できれば、恒星進化のパラメータの多くが決められるだろう、という話。LIGO IIなら、十分な成果が得られるはず、という結論。

  SESSION 5 : Source Physics and Gravitation Wave Data Analysis

  • General relativistic SPH calculations of binary neutron star coalescence,
    J. Faber, Northwestern Univ.
    • キャンセル
  • Probing equation of state of NS with LIGO,
    F. Rasio, Northwestern Univ
    • 'Gravitational wave signals from merging neutron stars' というタイトルから変更。連星合体からの重力波形のスペクトルで、inspiralの終わり段階に急激に振幅が落ち込む(plunge)ところがあり、そこを良く調べることで状態方程式の情報が得られる、という話だったようだ。
  • Influence of the precession on the search of inspiral binaries with the ground-based gravitational waves detectors,
    P. Grandclement, Northwestern Univ.
    • 連星合体する系にスピン歳差運動があると、重力波信号が振幅・周波数変調を受け、テンプレートでの検出効率が4割から9割程度低下するという話。adaptive phase correctionというものを行えば、検出効率の低下が1/7程度に抑えられるという結果を示していたが、それが何者かは良く分からなかった。
  • Dynamic matched filter technique for gravitational wave detection from coalescing binary systems by means of optimization algorithms,
    F. Barone, Univ. degli Studi di Salerno and Istituto Nazionale di Fisica Nucleare (Italy)
    • キャンセル
  • Analysis techniques for data from resonant-mass detectors,
    P. Astone, Univ. degli Studi di Roma La Sapienza and Istituto Nazionale di Fisica Nucleare (Italy)
    • 共振型検出器におけるデータ解析の話。2001年にはExplorerとNautilusで213.7日の同時観測ができた。
  • Search for gravitational waves in the galaxy with the 5-bars network,
    M. Cerdonio, Istituto Nazionale di Fisica Nucleare and Univ. degli Studi di Padova (Italy)
    • 共振型アンテナは、同時観測でのduty cycleと感度の両面でさらに改善していく必要がある、という話。また、干渉計型アンテナと同時に共振型アンテナも必要だという宣伝的な議論もしていた。

  SESSION 6 : Gravitational Wave Data Analysis

  • Analysis of data from interferometric gravitational-wave detector,
    P. Brady, Univ. of Wisconsin/Milwaukee
    • データ解析の一般論らしいが、一般論過ぎてよく分からなかった。'Bayesian Optimal Detectors' という言葉を出して議論していた。この'Bayesian'という統計の話は最近、しばしば耳にするが、勉強不足でいまいち良く分からないです。重力波解析分野における最近の流れらしいですが。
  • Data analysis with multiple detectors: plans and prospects for coordinated international analysis of interferometric detector data,
    P.Saulson
    • S.Finnが講演の予定だったが講義の都合で来れなくなった為、Saulsonが代わりに話した。複数台の検出器で何が得られるか、という話。角度分解能がさほどなくても、全点マップのようなものができれば何か重要な結論が得られるだろう、ということをGRBの例を挙げて説明していた。また、複数台の検出器を統合することは、競争か協力かといった社会学的な問題も持っている、との議論などなど。
  • Data analysis techniques for a stochastic background of gravitational radiation,
    J. D. Romano, Univ. of Texas/Brownsville
    • Stochastic background重力波に対してのこれまでの結果のoverviewと手法について。LIGO dataで今やっているとの事。
  • Merits of coincident observation of energetic cosmic events by astronomical and gravity wave observatories,
    S. Marka, California Institute of Technology
    • 重力波検出器以外の観測結果とのコインシデンスについて。SNやGRBの報告システムについてレビューしていた。

第二日目、以上。